コロナ禍でどう変わった? 稲作農家のためのマーケティング戦略

コロナ禍により変化した、小売需要と外食需要。コメの需要減少と、それに伴う価格下落が課題となっているが、生産者はどういったマーケティング戦略、経営を考えていくべきだろうか?

解説:公益財団法人 流通経済研究所 主席研究員 折笠俊輔氏

最近のコメ需要


コロナ禍の前から、コメの需要は減少の一途をたどっていました。少子高齢化、人口減少、そして消費者の食のニーズの変化からくるコメ離れが原因です。

さらに、コロナ禍によってその需要減少が加速しています。
農水省が2021年11月に発表したデータによると、これまで年間約8万tであった主食用のコメの需要の減少ペースが、コロナによって10万tを超えるペースとなっています。

これからのコメの販売/マーケティング

供給量が変わらないのに、需要が下がれば、価格が下がります。近年の米価下落の大きな要因は、需要の減少です。

では、今後、コメの生産者や販売事業者などは、どのような戦略を描けば良いでしょうか?

ここでは、いくつか、その切り口を考えてみたいと思います。

①輸出に力を入れていく

国内マーケットの需要が減少していくのであれば、海外に目を向けるのも一つの手段です。

農林水産物・食品の輸出額は、最初の政府目標であった1兆円を達成し、次は5兆円を目指すとされています。そのため、積極的な政府の補助なども得られることが期待できますし、コメの輸出も伸びているマーケットです。

②コメの生産性を高める

国内でのコメの価格がどうなろうと、確実に収益があげられる生産体制を構築するのも一つの方法です。
機械化・自動化などを駆使して、低コストに米の生産ができれば「薄利多売」で経営を成り立たせることができます。大規模にコメの生産を行いたい場合は、この生産性向上が肝となります。

③徹底した差別化で付加価値を付けて販売する

上で述べた②は生産コストを最大限に引き下げることで、安い米価でも利益を出す、ということでしたが、その逆のアプローチとして、当然ながら「通常のコメよりも高い単価で売れるコメを生産・販売する」という付加価値型のアプローチも可能です。

この方法をとる場合、一般的なコメとの違いをしっかりと消費者に訴求すること、いわゆる差別化が重要となります。

④加工なども含めた新しい商品や販売方法を生み出す

例えば、ポン菓子をベースに朝食用のコメのシリアルをつくるとか、ガシャポンでコメを売るといった、「今までにない商品や販売方法」を生み出して、コメの販売を増やしていくアプローチです。

試行錯誤・トライアンドエラーが重要となります。既存の常識を捨てて、挑戦してもらいたいアプローチです。

以上、現状を踏まえた4つの切り口を紹介しました。

【関連企業】②コメの生産性を高める

カイゼン支援サービス『現場改善』

改善活動を経営体の従業員全員で進められるよう、トヨタの改善スタッフが訪問し、改善の仕組みづくりと人材育成をサポートします。

株式会社クボタ

疲労軽減・作業効率向上に有効なGSトラクタなどを展示中!

ヤンマーアグリ株式会社

先進的な農業用ロボット「トラクター・田植え機」を展示


【関連企業】③徹底した差別化で付加価値を付けて販売する

ケツト科学研究所

農業用測定機器などの測定器専門メ―カー。各種水分計などを展示

株式会社タイワ精機

─より安全・安心な食の実現はもとより、環境問題へのさらなる貢


【関連企業】④加工なども含めた新しい商品や販売方法を生み出す

宝田工業株式会社

創業66年を迎える、伝統ある食糧加工機械の製造メーカー


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AGRI JOURNAL WEBサイトより抜粋・転載
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