トマトを増収へ導くCO2施用機の基礎知識

CO2を上手にコントロールすればトマトの収量がアップする。それが「CO2施用機」だ。ただし、正確な知識が無ければ効果を発揮しないことも。CO2施用の基礎知識をまとめた。

CO2施用機を正しく選びトマトの収量UP!



植物は光合成によって葉から二酸化炭素(CO2)を取り込み、根から水を吸収し、光エネルギーを利用して糖を合成する。この糖がトマトの収量や品質を高める。そんな光合成の原料であるCO2だが、実は外気より濃度を高めると効率よく光合成を行う。この能力を活用するためCO2施用が行われてきた。実際にCO2施用時間が収量および無機成分含量に影響を及ぼし、無施用に比べて収量が増加したという公的機関の研究結果もある。

CO2施用機のタイプは「灯油燃焼方式」「LPG燃焼方式」「液化炭酸ガス方式」の3つ。光量や潅水量が不足したままCO2だけを多量に施用すると効果が得られないケースがあることに注意しよう。そのため、まずはハウス内のCO2濃度の推移データを把握し、濃度を400ppmに維持、管理できる装置を選ぶようにしよう。

CO2施用機を活用するための3つのポイント



1. 方式の特性を知ろう!

CO2施用機のうち「灯油燃焼方式」は灯油を燃料として燃焼させ、浄化した後にハウス内に施用する。導入コストとランニングコストが安い。「LPG燃焼方式」は液化石油ガス(LPG)を燃料とする。排気ガスがきれいで効率的だが、ランニングコストは灯油よりも高い「液化炭酸ガス方式」はCO2を液化炭酸ガスボンベから供給する。仕組みが簡単で設備費は安価だが、ランニングコストは高い。

2. 季節と時間帯は大切!

日中のCO2が不足しやすい季節は12月から3月の4カ月間。外気温が低く、施設が密閉される時間が長いからだ。また時間帯でいえば、夜間は施設が密閉され、作物や土壌の微生物の呼吸などによって外気より濃度が高くなる。一方で日中は換気により外から入るCO2の量よりも光合成によって吸収される量の方が上回る。そのため施設内のCO2濃度は外気よりも低下する。「寒い季節、明るい時間帯の施用が効果的」と覚えておこう。通年で稼働する農家さんは、それに適した製品かどうか調べることをお忘れなく。

3. メンテナンスが大切!

CO2施用機は施設面積や施用量に見合った能力のものを選択しよう。能力が大きすぎると、頻繁に ON-OFFが必要になり機器の故障につながる。また光合成量やCO2濃度の測定で、センサー類の経年劣化などにより誤差が生じてしまうと正確なデータが得られず、CO2施用量の過不足が生じる可能性もある。そのため定期的なシステムメンテナンスが必要だ。

本展示会にはCO2施用機を扱う企業がたくさんある。気になる人は担当者に詳しく尋ねてみよう。また千葉県農林水産技術会議の技術指導マニュアルも事前に確認しておけば、有効活用の幅も広がるだろう。

CO2施用機を扱う企業一覧

ebm-papst Japan 株式会社

高効率で省エネ性の高い風量調整可能なファンを提供しています。

ブレス CC-4000

低コストで環境に優しいCO2局所施用コントローラー。CO2と空気を併用制御する当社独自の技術で光合成を促します。

アグリーフFC2010(300坪用)

暖房機の排気ガスに含まれるCO2を浄化して貯留。光合成が盛んになる日中に、貯蔵しておいた常温のCO2を局所施用する装置。