最適な資材を活用し、ハウス内の環境を整えよう
イチゴをはじめとする果樹、野菜、花きといった作物を安定的に栽培・販売するうえで欠かせないのがハウス栽培だ。また、ハウス栽培は、露地栽培よりも労働生産性が高く、10アールあたりの収益が露地栽培の約3倍になるというデータもある。
ハウス栽培は、より良い農業経営を目指す農家にとって魅力的な栽培方法だが、ハウスの運営にあたっては難易度の高いタスクが生じる。その一つが、ハウス内の環境を最適な状態に保つこと。夏場は温度や湿度の上昇をおさえる一方、冬場は暖かく保つなどし、ハウス内の作物にとって良好な環境を整える必要がある。
なお現在の農業界では、ハウス内の環境整備に特化した、実用的な手法や資材が存在する。たとえば、送風ダクトや循環扇を導入したり、従来の燃焼式暖房機と最新型のヒートポンプを併用したりすることで、省エネと品質向上の両方を叶えることができる。また、ハウスの素材にもこだわることで、ハウス内の環境をより理想的なものに近づけることができる。以下で紹介する「3つのポイント」を参考に、ハウスの設備を整えてみては。
ハウスを選ぶ際に重視する3つのポイント
1. ハウス用資材の素材や造りに注目を
国内でも温暖化によって、夏場は酷暑に見舞われる地域が多く見受けられるようになった。ハウス内の温度上昇を抑えるための資材は、イチゴの苗にとってはもちろん、ハウス内で働く人々にとっても必要不可欠といえる。高い遮光・遮熱効果、あるいは保温効果のあるハウス用資材が各種販売されているので、圃場周辺の環境や栽培作物に適した一品を見つけよう。ちなみに、資材に使用されている素材や資材そのものの構造によって効果が変わるため、素材や造りには特に注意したい。
2. 温度や湿度の“ムラ”に注意!
ハウス内は密閉された空間となりやすく、内部の空気が滞留しがちに。それに伴い、ハウス内の温度や湿度、CO2の濃度にムラが生じやすくなる。こうした“ムラ”が原因となり、作物の生育に悪影響が及んだり、燃料の消費量がかさんだりすることも。さらに夏場は、病害虫が発生するリスクが高まる。ハウスに循環扇や送風ダクトを設置し、内部の空気を循環させることで、こうしたリスクを軽減できる。
3. 保温性能の高い資材で、燃油コストを削減!
ハウスを運営する際、重くのしかかってくるのが燃油コストだ。しかしその反対に、燃油コストの削減に取り組めば生産コストが抑えられ、経営状態がより好転するということ。ハウスの素材を保温効果が高いものに変えるだけで、燃油コストが削減できる。とくに、冬場の冷え込みがきつくなる地域で農業を営んでいる人にとって、保温性能の高い資材は心強い存在 になるはずだ。
自身が所有する圃場周辺の環境に合わせてハウスの資材を選択することは、コストカットやイチゴの良好な成長につながる。バラエティ豊かにそろう資材のなかから、ぴったりの一品を見つけよう。