露地栽培における病害虫対策

どんなに美味しい野菜を作ろうとしても、病害虫対策がしっかりできていなければ生育に失敗する。安定した生産のためにも、防除対策の情報は常に更新しておこう。

IPM、防除暦など病害虫対策の情報を活かす

露地栽培における病害虫対策は安定的な農業生産に不可欠で、施肥と同様に農業経営の基本だ。しっかり対策しないと、みるみるうちに被害が広がってしまう。最近では、農林水産省が「総合的病害虫・雑草管理」(IPM:Integrated Pest Management)を勧めている。

IPMとは、あらかじめ病害虫が発生しにくい環境を整え(輪作や抵抗性品種導入、土着天敵利用など)、病害虫の発生状況に応じて天敵(生物的防除)や粘着板(物理的防除)などの防除方法を適切に組み合わせ、病害虫の発生を抑制する防除体系のことだ。

各都道府県でも、植物防疫法に基いて病害虫防除所を設置し、防除の企画・指導、発生予察事業等を実施している。その一環として、農業者団体が中心となって作成する防除暦(栽培する作物ごとに、病虫害防除のために使用する農薬名や散布時間、使用方法などが記載された表)などの基礎となる防除基準を策定するなどしている。

様々な情報を取り入れ、しっかり防除に取り組もう。
 
病害虫の予防方法

輪作や土壌ケアが大事!

農業に病害虫はつきものだ。農地に雑草などが生えていると病害虫の住みかとなるため、こまめに取り除こう。栽培には病気に強い品種を選ぶといい。

同じ農作物を同じ場所で連続して作ると病害虫が発生しやすくなる。いわゆる連作障害を防ぐには、例えば4年間でトマト、キュウリ、枝豆、サツマイモを1年ごとに順番に育てるといった輪作という方法が有効だ。

他にも種子の消毒を行うなどして、健全な種苗を使うのが大事だ。窒素肥料は過剰に使わないほうが病気にかかりにくい農作物を育成できる。植物そのものを肥料の一種として利用した緑肥を使えば、土壌微生物が活性化、多様化して病原菌の増加を抑制できる上に、地力が増進して病気にかかりにくくなる。

農地については、適切な栽植密度を確保して風通しをよくすれば病害虫の発生を抑制でき、排水対策を施せば土壌中に空気を送り込んで根腐れを防げる。

害虫の種類に応じた対策

天敵を使えば殺虫剤いらず!
 
野菜類を食害する「チョウ目害虫」(蛾の仲間)は種類が多く、発生生態や使える登録農薬も異なる。虫の種類を調べてから防除対策をたてよう。基本的には防虫ネット全面被覆法がおすすめだ。

「アブラムシ類」については、露地ではシルバーマルチ、シルバーテープが飛来防止に有効。テントウムシ、寄生蜂といった天敵を利用すれば、化学殺虫剤を使わずに駆除できる。

「アザミウマ類」については、虫が花に潜り込むと薬剤が効きにくい。花がらや被害が大きい花はこまめに摘み取る。

防虫ネットでトンネル状に覆ったり、成虫が嫌う光線反射シート(全面で光を反射するものがよい)を敷けば、成虫の飛来を減らせる。天敵のヒメハナカメムシ類を活用する防除策もある。

最近は、作業効率化のため速効性のある化学合成農薬に依存した防除体系となっているが、薬剤抵抗性病害虫が発生して防除が困難になっている。農林水産省の情報などを参考に対策情報を常に更新しよう。

病害虫防除に関しての注意点

効果的に病害虫を防除するためには、注意深く農地観察することで病害虫の発生状況を的確に把握することが必要となる。病害虫の発生は天候の影響を大きく受けるので、天気の推移に注意しつつ、各都道府県の防除指針に従い、適期に適切な防除を実施するべきだ。

薬剤防除を実施する場合は、病害虫が薬剤抵抗性を獲得しないように、同じ作用機作の薬剤の連続使用を避ける。また、農薬の使用基準を遵守して適切な薬剤を選択するとともに、散布対象外の農作物などに農薬が飛散しないよう対策を講じることも忘れてはいけない。

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