1.土壌伝染性の病気のリスクがない
地面の土を使った土耕栽培の場合には、その土に土壌伝染性の病原菌が含まれていることがあります。土壌伝染性の病気とは、例えば炭そ病や萎黄病。新品の培養土にはそのような病原菌は含まれていないので、土壌伝染性の病気が発生するリスクが少ないです。
2.どこでも再現性が高い栽培ができる
再現性が高いとは、どこで栽培しても毎年同じような結果を出せるという意味です。土の性質は圃場ごとに違いがあり、例えば粘土質の圃場もあれば砂質の圃場も。そのため、土耕栽培では圃場の土の性質に合わせた栽培をしなければいけません。その点、養液栽培なら培養土の性質は常に一定なので、どこでも同じ栽培ができます。
3.データを使ったマニュアル化ができる
養液栽培では液肥の濃度や量などを数値として設定でき、その設定に合わせて栽培すれば誰でも栽培できます。また、栽培の記録もデータとして記録できるので、他の圃場との比較や次作に向けた改善活動にも使えます。マニュアル化できるということは、人を雇用して栽培を任せやすくなるので、規模を拡大しやすいという利点もあります。
4.一作目から栽培ができる
地面の土を使う土耕栽培の場合には、栽培する前に土作りが必要になります。しかし、良い土を作るためには5〜10年ほどかかるといわれており、一作目から良い結果を出すのは難しいです。その点、培養土を使えば土作りの必要はないので、一作目から栽培がうまくいきます。
5.最適な肥培管理ができる
液肥を使って栽培するので、いちごが必要とする水や肥料分を少量ずつ与えられます。液肥を使えば、もし肥料を与えすぎてしまってもすぐに減らすことができます。固形肥料を使ったり、土の量が多い土耕栽培ですと肥料を減らすことは難しいです。
養液栽培のデメリット
1.コストが高い
土耕栽培よりも養液栽培の方が、イニシャルコストもランニングコストも高くなります。
2.土耕栽培の経験が使えない
養液栽培と土耕栽培は栽培方法が全く違うので、土耕栽培の経験は生かせません。すでに土耕栽培をされている方にとっては、やりづらいでしょう。
3.養液栽培の知識が必要
養液栽培を成功させるためには、養液栽培の知識が必要です。それをこちらの連載で解説していきます。
4.最適なシステムが見つけにくい
養液栽培のシステムを販売するメーカーはたくさんあり、さらに一つのメーカーが複数のシステムを販売しています。そのため、日本ではシステムの数が多すぎて、最適なシステムを見つけるのが難しくなっています。
5.収穫量が減る
養液栽培をするためには高設ベンチを使うのが一般的ですが、高設ベンチを使用すると、土耕栽培よりも収穫量が減る場合が多いです。なぜかというと、高設ベンチの方が広い通路幅が必要なため、栽培株数が減るからです。
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【教えてくれた人】
株式会社イチゴテック
代表取締役
宮崎大輔
いちご農園の新規立ち上げや栽培改善、経営改善をサポートしている。
AGRI JOURNALより転載