スマート畜産の課題と今後は

畜産においても既に、様々なロボット、AI、IoT技術が活用されている。スマート畜産の現状と未来をご紹介しよう。

担い手現象と悪臭・防疫が畜産の課題



現在の畜産が抱える課題としては、担い手不足、暑熱負荷、防疫、悪臭、国産飼料の自給率向上があげられる。担い手不足については、日本農業全体にとっての深刻な課題である。また、住宅地の拡大により畜舎と住居が近付いていることによる悪臭、猛威を奮う豚コレラや過去に驚異となった口蹄疫・鳥インフルエンザといった防疫は、畜産固有の課題である。

スマート畜産を進める基盤となるのは、高度環境制御と快適環境を提供できる畜舎の構築だ。高度な自動環境制御を導入することで、快適な環境を提供できる。日本では特に、一生のほとんどを畜舎内で過ごすことから、生産性や品質の観点からだけでなく、Animal welfareの観点からも、こうした畜舎が求められる。閉鎖型であれば、温度、湿度といった環境制御技術を導入しやすくなり、その効果も高まる。また、畜産が抱える固有の課題として『悪臭』と『防疫』をあげたが、閉鎖的空間として対策装備を搭載することで、相当程度、対策ができる。

またスマート畜産においては、各作業の自動化と、個体イベントの検出と通知が重要となる。これには、牛と豚における自動個体識別と生体情報の把握が必要となる。既に製品・サービスの提供が始まっており、個体イベントの検出・通知に複数のセンサーが用いられている。センサーがサービスごとに必要となるようでは、動物にとってストレスが大きい。そこで今後は非接触のセンシング技術とセンサー数も減少させる必要がある。自動個体識別と生体情報の把握に、画像認識技術の向上が求められるだろう。

現在市販されているIoT製品やサービスは、それぞれが独立しており、別々の頭脳を持ったシステムとして個別に稼働している。それを次世代の閉鎖型畜舎と統合することで、高度な自動環境制御が可能となる。こうして、より生産性が高まり、利益が出るスマート畜産が実現するだろう。

スマート畜産関連の製品・サービス


トーヨーケム株式会社(旧東洋アドレ・東洋インキグループ)

クマ笹から抽出成分で腸内環境維持。家畜・水産用飼料。

エーディイーテクノロジー株式会社

非接触型バイタルセンサーで家畜の健康状態を集中管理

株式会社 ポータス

ICTの活用で「スマートで儲かる畜産業」を目指します。




─ AGRI JOURNAL WEBサイトより